出演者インタビュー:岩下晶子さん


岩下さんの演じるアデーレの魅力を教えてください。

 

「女中なのですが、主人を主人とも思わない、やや傍若無人にも見える人物で考えています。ですが、したたかに見えつつも愛らしさが残るよう、度は過ぎないように演じられたらと思います。

 

岩下さんは、第九のようなコンサートソリストもたくさん務められていますが、オペラとコンサート各々の魅力、また、難しいところ、楽しいところを教えてください。

 

「オペラは共演者と過ごす時間も長く家族的です。手に手をとって舞台をひとつづつ創り上げる魅力があります。コンサートではオーケストラや合唱の音に舞台上で包まれて昇華される感覚がとても好きです。オペラでは役柄に沿った歌唱と演技、そしてオーケストラ作品では作品に求められるソプラノとしての役割の追求、それぞれの難しさがあります。」

 

アメリカに留学していらした岩下さんですが、その中で一生忘れられない経験などがありましたら、教えてください。

 

"「意外とささやかなことが忘れられず、たくさんあります。道端で突然「そのコート素敵!どこで買ったの?」と言われたことや、友人と公園でクリスマスソングを歌って募金を集めたこと、クラスメイトとのティータイム、ひたすらマンハッタンを上から下まで歩き通したことなど、忘れられないことばかりです。それにメトのオペラ!

 

  ただ、東日本大震災の時にニューヨークにいたので、パソコンでNHKのニュースにかじりついて情報を集めたことは、何よりも強く印象に残っています。そして日本出身の友人たちと、大学でチャリティーコンサートを開きました。」"